すきなものごと

毎週金曜日、21:00更新。車いすダンサーです。HP:watername.net

みっつ(短文)

あわいひかり、と、ゆれるものの気配と、

ふたつをかけ合わせると、像がうまれる。

うまれてはきえて、そのくりかえしのなかで、もとのかたちをもう、おもいだすことができない、

やわらかな。すみからすみまでやわらかな。ひと続き、の、おおきな布みたいだったなっておもって、

なみだがはたはたとこぼれる。水滴がおちてくるみたいに、水面がゆれるときには、そこにかおりもてざわりも、あらわれているのに。

ひとみをあけるとまた、わたしはわたしをおもいだす、

その部屋でくりかえされること、は、いろとかたちを変えていって。はらはらと、こぼれてゆくように、

 

 

おぼえているのは、ちいさなものたち、

わすれてゆくのも、ちいさなものたち。

まるでばらばらに、整理されていない、

ひきだしみたいに、だけれどいつでも。

 

ミドルノートの足音と、まなざしは床に、

わたされたかみぶくろ、にはうすいあお。

ワンピースに、沁みていたのは涙のあと、

ほんとうには、掬いあげられないものを。

鏡に映ったおもざしは、いつかの誰かに、

おもいだす記憶たちと、かたちはいつも。

べつべつのものみたい、とおもいながら、

いつかのどこかで見た、景色をおもった。

 

。◯。◯。◯。

 

ひだりめを閉じたままで、

みぎめは開けたままで。

空気はふかく、とろりと溶けてゆく。ちいさくゆれるもの、は、ブランケットみたいに、

両目はとじたままで。

ちいさく閉じた部屋、には、うすくあまい香りがただよっている。

それが、からだからこぼれたものだと気づいて、とてもとてもふしぎな、きもちになった、

ひだりめを開けたままで、

みぎめは閉じたままで。

ふかく息を吸い込むと、それもとろりと、溶けていくみたいだった、

いつかのとおい場所、うまれるよりずっとまえ、そこで息をしていたのかもしれない。

みずのなかで呼吸を、するいきものだったのかもしれない、

意識もすこしずつ、とろとろと溶けてゆく。

両目をひらいたままで、

とらえたままで。満ちてまた満ちて、

海のいきものに、もどってゆく。

 

 

前回更新のブログで、言葉でもぐれる云々かいたので、ちょっと深さを変えたやつを。

これはふだんの書き言葉のいっこ下くらいだから、わりとさらさらかけるのだけれども、もっと潜るときには戦地に赴くこころもち……。

作家さんで潜る(のとおぼしき)やつやってる方は、もっともっと潜ってるうえに、ちゃんと文脈になってるとゆう。ばけもの……?っておもう。