すきなものごと

毎週金曜日、21:00更新。車いすダンサーです。HP:watername.net

へや 2(短文)

その部屋はずっと、閉じたままだった、

なんど繰り返しても、その場所に辿り着いた。

いくつもの分岐を、自分でつくりだして、もうそこに辿り着いてしまわないように、

だけれど夢の入り口に立つと、それはその部屋のまえだった。

わたしは観念してベッドに潜り込んで、繰り返し記憶を、夢にして眺めていた、

 

一瞬のなかの永遠を、見たことがある。

時間は伸びたり縮んだりするので、そのなかで、繰り返し繰り返し、

おもざし、を、まなざし、を、気配、を、

かたちとしてでは、もうなかった。空気のなかに色が、溶け込んでしまうように。

 

わたしのからだは、いろいろなところにいったけれど、

からだのなかで起こっていることは、変わらなかった。

丸ごと、溶かしてしまわなければいけないのだとおもった、

ひとつひとつを咀嚼して、甘かったり苦かったりしょっぱかったり、それらはぜんぶ、いつの間にか名前を持っていた。

言葉を、憶えなおすように。ひとつひとつを、

 

。○。○。○。

 

ここではいくらでも、眠り続けることができた。

忘れながら、憶えながら。雨だれを、ながめるみたいに、

 

そのうちに、部屋のぜんぶを溶かす必要はなくて、たったひとつを飲み干せばいいのだと、気づいたけれど、

どうしてもそれが、できなかった。1000000年が経っても、それをすることができなかった。

だけれどすこしずつ、円環がほどけて

ゆくのが、

わかった。

 

。○。○。○。

 

ある朝目を覚ますと、ベッドにひかりが差し込んでいた、

閉じたままの場所、動かないはずの場所に、ひかりが注いでいた。

びっくりして、窓を開けるのだけれどそこは、

 

白くて薄いカーテンが、揺れていた、

いつかとおなじように。

 

時間が経つとまた、窓の外は夜になった、

そうしてもっと時間が経つと、朝がきた。

どうしてここにいつまでもいるのかが、わからなかった、

けれど足首に、繋がれていたのは、

 

。○。○。○。

 

プロジェクタ、は、夜のなかにいろいろなものを、うつした、

昼間を、水を、空気を、空を、みずうみを、

飲み干さなくてはいけない「それ」は、あの時にわたしが映したもの。

深く深く、刻み込まれたもの。

 

いくつもの景色のなかに、断片が映っていた、

それをひとつひとつひろいあつめると、ちいさくひかったので。

色とりどりのそれらを眺めているうちに、からだのなかに、記憶に、

 

まなざしを、ほんとうにおもいだすことがこわかった。だけれどちいさく、ゆれるさざ波のように。

そこにあったものは、いつでもわたしにむかって、ひらかれていたことを、

 

「それ」はもうとっくに、からだのなかに取り込まれていて、

ちいさく呼吸を、くりかえして。

 

部屋はただ、

窓が開け放たれたままで、

わたしは靴を履いて、

腕時計をして、

 

朝のひかりに照らされたその部屋は、まるで「ふつう」で、溢れた涙も溢れたままの、かたちをしていて、

指の先にいつまでも。

いつまでもいつまでも。

 

。⚪︎。⚪︎。⚪︎。

こんどおどるやつの、イメージの断片デス!