その部屋はずっと、閉じたままだった、
なんど繰り返しても、その場所に辿り着いた。
いくつもの分岐を、自分でつくりだして、もうそこに辿り着いてしまわないように、
だけれど夢の入り口に立つと、それはその部屋のまえだった。
わたしは観念してベッドに潜り込んで、繰り返し記憶を、夢にして眺めていた、
一瞬のなかの永遠を、見たことがある。
時間は伸びたり縮んだりするので、そのなかで、繰り返し繰り返し、
おもざし、を、まなざし、を、気配、を、
かたちとしてでは、もうなかった。空気のなかに色が、溶け込んでしまうように。
わたしのからだは、いろいろなところにいったけれど、
からだのなかで起こっていることは、変わらなかった。
丸ごと、溶かしてしまわなければいけないのだとおもった、
ひとつひとつを咀嚼して、甘かったり苦かったりしょっぱかったり、それらはぜんぶ、いつの間にか名前を持っていた。
言葉を、憶えなおすように。ひとつひとつを、
。○。○。○。
ここではいくらでも、眠り続けることができた。
忘れながら、憶えながら。雨だれを、ながめるみたいに、
そのうちに、部屋のぜんぶを溶かす必要はなくて、たったひとつを飲み干せばいいのだと、気づいたけれど、
どうしてもそれが、できなかった。1000000年が経っても、それをすることができなかった。
だけれどすこしずつ、円環がほどけて
ゆくのが、
わかった。
。○。○。○。
ある朝目を覚ますと、ベッドにひかりが差し込んでいた、
閉じたままの場所、動かないはずの場所に、ひかりが注いでいた。
びっくりして、窓を開けるのだけれどそこは、
白くて薄いカーテンが、揺れていた、
いつかとおなじように。
時間が経つとまた、窓の外は夜になった、
そうしてもっと時間が経つと、朝がきた。
どうしてここにいつまでもいるのかが、わからなかった、
けれど足首に、繋がれていたのは、
。○。○。○。
プロジェクタ、は、夜のなかにいろいろなものを、うつした、
昼間を、水を、空気を、空を、みずうみを、
飲み干さなくてはいけない「それ」は、あの時にわたしが映したもの。
深く深く、刻み込まれたもの。
いくつもの景色のなかに、断片が映っていた、
それをひとつひとつひろいあつめると、ちいさくひかったので。
色とりどりのそれらを眺めているうちに、からだのなかに、記憶に、
まなざしを、ほんとうにおもいだすことがこわかった。だけれどちいさく、ゆれるさざ波のように。
そこにあったものは、いつでもわたしにむかって、ひらかれていたことを、
「それ」はもうとっくに、からだのなかに取り込まれていて、
ちいさく呼吸を、くりかえして。
部屋はただ、
窓が開け放たれたままで、
わたしは靴を履いて、
腕時計をして、
朝のひかりに照らされたその部屋は、まるで「ふつう」で、溢れた涙も溢れたままの、かたちをしていて、
指の先にいつまでも。
いつまでもいつまでも。
。⚪︎。⚪︎。⚪︎。
こんどおどるやつの、イメージの断片デス!