すきなものごと

毎週金曜日、21:00更新。車いすダンサーです。HP:watername.net

さざなみの色(短文)

やまぶき、みどりいろ、群青、


目にうつるものひとつずつに、なまえをつけてゆく。


だとするならこれは、なに色だろうと、おもう、


うすいだいだいいろ、やわらかなおひさまのいろ。

さざなみのように、絶え間なくゆれつづけるもの、

 

背中からすっぽりと、くるまれる、ときに、

わたしはうすくまどろみながら、声のかたちをしたもの、が、とがったもの、を、研磨してゆくのを、感じた。


わたしのなかの「それ」はまだ、まえとおなじかたちでそこにある。

ちいさな、たまご型のそれは、殻にくるまれてまだ、「これ」をつくりつづけている、

だけれどさざなみ、は、それとはまるで、無関係に。

 


だいだい、むらさき、あお、とうめい、な、かがみ、


たちあがる、色彩の温度。だけれどたしかに、覚えているのは、


世界がゆれたときに、わたしはそのまま目を閉じた、

こんなに痛いのなら、もうなにもいらないとおもった。

のに、いまでもはっきりと、おぼえているのは、


足枷を、はめられたみたいに、

立ち尽くしたのは、

めのまえで、ちいさくちいさく、

なつかしい部屋。


さざなみ、が、ゆれている、

呼吸、には、色がついている、


空をみあげた、いつかの日を、

しずかに、弔うように。