深く深く眠って、はたと目が覚めてすぐ、まだ夢の感触が、残っているような時に、
いまここ、以外のすべてが、曖昧に感じるような時間に。
たとえば手のひらの、かたちを疑うような、自分自身の輪郭が、ゆらゆらと揺れているような、時に。
確かなもの、を手繰るとそれは、いつまででも、変わらない、かたちをしていて、
変わらない、ということそのものが、不自然なんだよと、言った人がいた。
すこし怒ったように。もういい加減、時間を進めろと言いたかったのかもしれないと、何年もの時を経て、気づく、
変わらない、ままの、いびつさで、
いびつさを守るために、どんなものにでも、どんな姿にでもなった。
命に刻み込まれた感触は、やがて還るその場所で、円環になる。
薄暗いこと、考えてるんじゃないよと、笑われるかも、と、おもいながら、
「変わらない」ということすら、記憶の集積なのだとしたら、それも怪しいのかもしれない、と、
なにか、に、触れたときにおもう、ことを、繰り返し繰り返し。